はじめに

 弁護士法人いかり法律事務所では、相続・遺産分割に関するご依頼を受けると、相続人の調査や遺言書の有無、相続財産の調査を行っています。
 ご相談頂いた際に、ご相談者様からも相続人や遺言書、相続財産の有無などについて聴き取りを行いますが、ご相談者様自身も、様々な事情で故人や他の相続人らと連絡をとっていないこと等から、正確に相続人の人数や遺言書の有無、相続財産を把握していないことがあります。
 そのため、ご相談者様から聴き取りを行った後も、ご依頼を頂いた後は、戸籍をあつめて相続人の調査を行い、故人の遺言書の有無や遺言書の保管場所の確認等を行い、相続財産の調査を行うこととしています。

 本稿では、これら相続に関わる調査のうち「相続財産の調査」にフォーカスして解説し、併せて弁護士に依頼するメリット等についてご紹介致します。

調査の端緒

1.相続人からの聴き取り

 相続財産の調査の端緒(とっかかり)は、まずは相続人からの聴き取りにあります。とりわけどこの金融機関に預貯金があるのかは、故人と関わりの深い配偶者や同居している子などの相続人しか知らないことが多いものです。
 
 実際、ご相談者様への聴き取りの場面では、故人と日頃関わりの深かった子から預貯金のある金融機関などを教えてもらうことがよくあります。
 因みに、相続についてご相談されるために法律事務所にご来所される方は、故人の配偶者よりも、故人の子であることが多い印象です。

2.遺言書の調査

 遺言書には、一般的に、相続財産を譲り受ける者や相続財産の対象、それを保管する人・場所など非常に重要な事項が記載されています。
 故人自らが作成した自筆証書遺言の場合は、相続人が保管先を知らないと、発見が難しくなる場合もありますが、公証人の認証を受けた公正証書遺言は公証役場で確認することができます。
 そのため、法律事務所では、相続についてご依頼を受けると、相続人の調査と並行して遺言書があるかを調査することになります。

(1)遺言検索システムを活用する

 たとえば、公正証書遺言の調査にあたっては、「遺言検索システム」を利用して公正証書遺言の有無を確認します。
 同検索システムにより公正証書遺言のある公証役場が明らかになるので、遺言書発見後は、遺言書の保管されている公正証書役場に写しの交付を請求することになります。

 公正証書遺言を遺している場合は、公正証書遺言を作成して、相続後の準備しておくだけの十分な資力があることが推認され、ひいては相当額の相続財産が遺されている可能性がありますので遺言書の調査は極めて重要です。

(2)自筆遺言書保管制度の利用を調査する

 また、令和2年7月10日より開始された自筆遺言書保管制度により、自筆証書遺言も法務局で預けることができるようになりましたので、自筆証書遺言の交付請求などによって自筆証書遺言の有無を法務局へ確認することが必要になります。 

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相続財産の調査

 相続財産の調査は、上記相続人の聴き取りや各種遺言書の調査と並行して、受任直後から行うことになります。

1.不動産の調査

 まず、不動産の有無は、相続人からの聞き取りや納税通知書、固定資産税評価証明書、名寄帳、家屋課税台帳などをもとに調査を行うことになります。

2.預貯金の調査

 預貯金口座は、通帳やキャッシュカード、スマホ・PCの履歴、郵便物などをもとに調査を行うことになります。また、故人が利用していた金融機関が明らかであっても、支店名が不明な場合は、対象の金融機関に対して、弁護士会を通じて23条照会を行い、支店名や取引履歴の開示などの請求を行うことになります。
 
 金融機関に対する開示請求は、請求しても必ず開示されるものではなく、各金融機関によって必要な書類や費用は異なってきます。

 因みに、実務上、ゆうちょ銀行に対する開示請求は、非常に時間と手間がかかり、他の金融機関と比べてとにかく面倒で大変です

 取引履歴を調査した結果、第三者が高額の出金を行っている場合があります。その場合には、誰が払戻しを行ったのかを確認するため、伝票の写しの請求などを検討することになります。
 たとえば、ご依頼者様も知らないうちに相続人の1人が出金している場合には、ご依頼者様の遺留分を侵害している可能性があることが明らかになるためです(親族の1人が勝手に引き出して使い込んでいた、などといったご相談もよくあります)。

3.有価証券の調査

 株式などの有価証券の調査についても、預貯金などと同じように、金融機関が発行する取引残高証明書や確定申告書、スマホ・PCの履歴、郵便物などをもとに調査を行うことになります。
 
 現在では、手数料が非常に安価であるため、ネット証券(有名なのはSBI証券や楽天証券などでしょう)を利用して株式取引などを行うことがありますので、紙媒体以上にスマホやPCの履歴の検索はとても重要です

 故人との生前の話からネット証券を利用していた形跡が見られるのに、その履歴が確認できない場合には、株式会社証券保管振替機構(通称「ほふり」)などを利用する場合があります。
 株式会社証券保管振替機構とは、株券等の有価証券を管理し、これら有価証券の受渡しを券面(紙媒体)での授受に代えて、機構に設けられた口座間の振替によって処理を行っている機関のことをいいます。

4.生命保険の調査

 生命保険の調査についても、預貯金や有価証券などと同じように、故人の通帳や金融機関が発行する取引履歴明細書、郵便物などをもとに調査を行うことになります。
 
 また、預貯金の調査と同じように、保険金・解約返戻金などの保険金額や受取人、受取時期などが不明な場合には、各保険会社に問合せたり、弁護士会を通じた23条照会などを利用して調査を行うことになります。

5.貸金庫の調査

 貸金庫には、重要書類(預金通帳・各種契約書・権利書・株券など)や貴重品類(貴金属・宝石など)が保管されている場合があります。
 手数料もそれほど高額ではないため(金庫の種類にもよりますが、月額1000円から1500円程度のものが多いようです)、相続人らへのヒアリングや故人への郵便物などから貸金庫の利用が認められる場合には、金融機関に対して貸金庫の利用の有無の調査を行う必要があります。
 
 貸金庫の開扉は、一般的に、相続人全員の同意や立会いの下で行われます。相続人全員の同意を得ることができない場合には、公証人に貸金庫の開扉を依頼することができます。公証人へ開扉の立会いと内容物の確認を求め、その結果を公正証書として残しておくこともできます。

 貸金庫の利用は、あまり馴染みがないかもしれませんが、貸金庫には遺言書が保管されている可能性があるため、遺言書の調査も兼ねて相続開始後早い段階で調査を行う必要があります

6.負債の調査

 相続財産は預貯金や保険、有価証券、不動産などの積極財産だけでなく、借金などの消極財産(負債)も含まれます。
 負債は、故人の通帳や郵便物から明らかになることがあります。故人に負債が疑われる場合には、一般社団法人全国銀行協会や株式会社シー・アイ・シー、株式会社日本信用情報機構などに信用情報の開示請求を行うことがあります。
 
 調査の結果、負債が資産よりも明らかに超えている場合には、通常は相続放棄を選択することとなります。

弁護士に依頼するメリット

 相続財産の調査は、相続人自らも行うことはできますが、これまで述べたように、相続人自身でさえ相続財産を正確に把握しているとは限りません。
 
 様々な事情から、故人と相続について十分な話合いをしてこないまま、今に至るということも少なくないはずです。相続財産を相続をするにせよ、放棄するにせよ、前提として相続財産の正確な把握は不可欠ですが、これらの調査を相続人個人で行うのは容易ではありません。

 相続開始後、正確かつ迅速に相続財産の調査を行うためには、調査方法に精通した弁護士など専門家の助言を受けながら進めることが大切です。
 相続人自身も把握していないかもしれない相続財産を正確・迅速に調査を行うことできる点こそが、相続財産を弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

さいごに

 弁護士法人いかり法律事務所は、日頃より相続・遺産分割のトラブルについて多数のご相談やご依頼を頂いており、相続財産の調査に関するご相談・ご依頼も積極的に承っております。
 
 相続財産が福岡にあるかもしれないけれど正確に把握していない、今後、遺産分割でトラブルになるおそれがあるので相続財産を早く把握しておきたい等、福岡で相続財産の調査を検討されている方や相続財産について少しでも気になることがある方は、まずは無料法律相談をご利用の上、福岡の弁護士法人いかり法律事務所へご相談下さい