ご依頼の概要
<依頼内容> 中学生のお子様が加害者となり、後輩の相手方少年に対して複数回の暴行等を行ったため、相手方少年との示談、家庭裁判所への送致などについてご両親が相談に来所されました
<争 点>
①家庭裁判所送致について
②被害者少年との示談
<結 果>
被害者少年及びそのご両親とは、謝罪や接触禁止事項などを含む合意書を取り交わすことができました。また、最終的に加害者少年が家庭裁判所へ送致されることは免れることができました。
解決に至った経緯
当初、加害者少年は、自らの犯した行為の重大性について十分に理解していなかったため、被害者少年の両親から謝罪を拒絶されていました。
その後、被害者側に弁護士が立ったことから、謝罪を含めた示談の内容について具体的な交渉が進められました。
被害者少年及びそのご両親からは、慰謝料というよりも真摯な謝罪を求められていたことから、弁護士は加害者少年及びご両親との面談を行い、加害者少年自身の内省の深まり、ご両親の誠実な対応を聴取し、そのことを相手方にお伝えしていきました。
もっとも、加害者少年による複数回に及ぶ暴行の内容が重大であったため、警察に被害届が出され、警察から児童相談所に通報がなされて児童相談所へ送致されることになりました。そのため、児童相談所から家庭裁判所への送致を避けるため、児童相談所とも交渉することが必要となりました。
具体的には、加害者少年の内省の深まり、将来の進路、並びに今後の養育監護を両親及び親族の方々が約束し、その内容も具体的かつ適切であること、さらに今後の加害者少年の健全な成長が十分に期待できることを児童相談所に伝えました。
被害者少年及びそのご両親と謝罪や接触禁止事項などを含む合意書を取り交わし、加害者少年が家庭裁判所へ送致されることは免れることができました。
家裁送致を回避し、被害者少年と示談が成立
依頼者の声
この度は色々とお世話になりました。ありがとうございました。
本件は、加害者少年のご両親からの依頼によるものでした。加害者の保護者は法定代理人であり、加害者少年と同様、いじめ紛争の当事者となり、被害者に対して法的責任を負う立場となります。自分の行為の責任を弁識するに足りる知能である事理弁識能力を有する加害者の保護者が負う法的責任は、加害者に対する監督義務を怠ったことにより、被害者にいじめによる損害を生じさせた不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)となります。
いじめの初期調査では、被害者と加害者の言い分が食い違っていたり、事実認識が異なることがよくあります。
というよりもむしろ、当事者の事実認識が一致する場合の方が圧倒的に少ないです。いじめ問題が発生した場合には、学校に間に入ってもらって調整することが多いかと思いますが、事実認定は、弁護士の専門領域ですので、両者の言い分や事実認識が食い違う場合には、事実認定の専門家である弁護士に相談することが必要です。
また、事件終了後も、示談の内容が、加害者少年が行った行為と均衡を欠く内容である場合には、加害者少年の心身にも重大な損害が生じ、かえって非行に走ったり、再非行率が高まるなど悪影響を与えます。アフターケアのことも含め、どのような内容の示談が相当であるかは、事件の渦中にいる当事者には判断が難しいものです。
いじめは犯罪であり、事実認定や法律の適用が問題となるので、加害者の保護者であっても、事件を適切に処理、示談するために事件発覚後、早期に法律の専門家である弁護士に相談してみることが必要です。