解決事例　相続（不動産の時効取得）不動産の時効取得を求めて提訴し、所有権の移転登記ができた事例

　ご依頼者様が、幼少の頃より住んでいた不動産の名義を確認したところ、建物は亡くなった父親名義でしたが、土地は曾祖母名義になっており、祖父母やご両親に相続を原因とする所有権移転登記手続きがされないままとなっていたため、自分に土地の所有権の登記名義を移せないかとご相談に来られました。
　曾祖母が亡くなってから約70年と長期間が経過しており、ご自身では、相続人を特定するための戸籍の収集に限界があるとしてご依頼をいただきました。

　曾祖母様の相続人の調査を行ったところ、相続人が数十名と大人数になることが判明しました。
　当初、各相続人と遺産分割協議を行い、各相続人の共有持分の移転登記手続きを行うことも検討しましたが、相続人の数があまりにも多く、また日本全国に点在していたので、一堂に会し協議を行うことや、相続人全員から所有権移転登記に必要な書類を取寄せることは現実的に困難な状況でした。
　
　一方で、対象の土地は数十名の相続人の共有状態となっており、このままでは、将来、ご依頼者様を含む相続人のお子様たちにも問題が引き継がれることになり、現在よりも手続きがもっと複雑となることが予想されました。
　そのため、時効取得を原因とする共有持分全部移転登記の判決を求めて提訴することにしました。

　対象の土地はご依頼者様が幼少の頃より生まれ育った土地だったことから、証拠を揃えつつ、各相続人に対し、理解とご協力を求める手紙を出したうえで提訴を行いました。

　各相続人からのご協力もあり、無事「時効取得を原因とする共有者持分全部移転登記手続きをせよ」との判決を得て、所有権移転登記を完了することができました。