国・羽曳野労基署長(通勤災害)事件 大阪高裁平成19年4月18日判決
この裁判例は、通勤災害にあたる通勤の「合理的な経路」について、事業場と自宅との間を往復する場合に、一般に労働者が用いると認められる経路をいい、必ずしも最短距離の唯一の経路を指すものではない。合理的な経路が複数ある場合には、そのうちのどれを労働者が選択しようが自由であると判断しました。
この裁判例は、通勤災害にあたる通勤の「合理的な経路」について、事業場と自宅との間を往復する場合に、一般に労働者が用いると認められる経路をいい、必ずしも最短距離の唯一の経路を指すものではない。合理的な経路が複数ある場合には、そのうちのどれを労働者が選択しようが自由であると判断しました。
この判例は、労基法上の労働者性の判断要素として、諾否の自由や使用者の指示の程度など複数の要素を挙げて判断する必要があることを示したものといえます。
この判決は、企業者は、労働者を雇用するにあたり、いかなる者、いかなる条件でこれを雇うかについて、原則として自由にこれを決定することができるとしている。ただし、思想信条等の調査にあたっては、現在の法制度のもとでは、一定の配慮が必要となる、と判断しています。
この判決は、親子会社の関係にある2つの会社の子会社の方に雇用された労働者は、親会社に対して、法人格否認の法理により、労働契約上の責任を追及することができる場合があるとしました。
この判決は、労働組合法上の労働者該当性は、事業組織への組入れ、契約内容の一方的・定型的決定及び報酬の労務対称性が基本的判断要素であると判断しました。なお、業務の依頼に応ずべき関係や会社による指揮監督下の労務提供及び時間的場所的拘束性は補充的判断要素されます。
この判例は、雇用主以外の事業主であっても、自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、同条の「使用者」に当たると判断したものです。
この判決は、公務員の労働基本権が保障されるとしつつも、職務の公共性などの理由から、争議行為やあおり行為などを禁止することは憲法28条に違反しないとしました。
この裁判例は、雇用契約の準拠法について、当事者間に明示の合意がない場合には、契約内容など具体的事情を総合的に考慮して当事者の黙示の意思を推定するべきであるとして、本件における準拠法はドイツ法であるとの黙示の合意が成立していたものと判断しました。
この判決は、求人広告は、それをもって個別的な雇用契約の申込みの意思表示と見ることはできない。求人広告は労働契約締結の申込みではなく、申込みの誘因行為に過ぎないとして、求人広告が直ちに労働契約の内容になるわけではないと判断しました。