概要
講師:弁護士 伊藤裕貴
日時:令和3年6月24日(木)午後1時30分~午後2時30分(1時間)
場所:福岡県立筑紫丘高等学校
対象:筑紫丘高校教職員(約80名)
目的:保護者等の対応の仕方を理解するによって、教職員のスキルアップ及び専門家に相談するタイミングを学ぶこと。
プログラム
1 問題対応の基本
2 保護者対応
3 いじめ対応
4 教職員間の情報共有
5 質疑応答
講演内容
講演会の様子を一部ご紹介します。
1 問題対応の基本について
まず、問題対応の基本については、
①対応の一貫性
②生徒間及び生徒間の調整
③早い段階で専門家に相談する
の3つのポイントをご紹介しました。
対応の一貫性は、保護者の方からよく相談されることです。
学校としての対応の一貫性がないまま保護者に対応してしまうと、クレームや保護者からの信頼を失うことにつながる恐れがあります。
教職員間で情報共有をきちんとすることで、被害者や加害者の保護者への一貫した対応をすべきです。
被害者側、加害者側どちらかに肩入れすることなく、双方からきちんと話を聴きとることが大切です。事実を正確に聴きとるためにも、生徒と保護者から別々に聴きとることも重要だと思います。
学生の相談をうけている中で、共通していえることは、謝罪の重要性です。
すぐに保護者が介入したり、先生が間を取り持って、結局当の本人からは謝罪をうけていないという話をよく耳にします。
先生方におかれては、謝罪の場が議論の場や加害者追及の場にならないよう、事前に被害者と加害者双方から十分に話を聴き取ったうえで、謝罪の場を設けると良いと思います。
ここでいう専門家とは、弁護士だけでなく警察や精神科医なども含みます。
最初にこじらせてしまうと、ずっと引きずってしまうので対応に少しでも迷った段階で、相談するということが大切です。
2 保護者対応について
先生方が一番苦労しているであろう保護者対応です。
基本姿勢として、4つ紹介しました。
保護者が「事実関係の説明」「謝罪」「賠償」を教師・学校に求めてきたなどの個別事例をあげ、対応方法をお話ししました。
なお、今回は公立高校を念頭に置いてお話をしており、私立高校の場合には賠償の点が異なってきます。
3「いじめ対応」について
「いじめ」が発生した場合における教師・学校・加害生徒が負う法的責任(公立高校を前提にご説明しております。)や「いじめ」に関する事実調査のポイントをご紹介しました。
4 教職員間の情報共有について
最後に、教職員間の情報共有は積極的に行うべきです。
いじめに発展していなくても、最近遅刻が多くなったなど少しでも生徒さんについて気になるところがあったら、教職員間で情報を共有しておく。
5 質疑応答について
最後に、先生方から日頃抱えている疑問や今後想定されうる問題などについて質問があり、これらに回答させて頂いて講演は終了しました。