はじめに

 ほとんどの方が当事者となる可能性があるにもかかわらず、ご家族やご親族など身近な方が亡くなられた後に、どこへ行きどのような手続きや届出を行えばよいのか、詳しく知る方は余りいないのではないでしょうか。
 大切なご家族やご親族のご不幸のことなんて積極的に考えたくないし、後回しにしたいという気持ちは誰だって同じです。ですが、ご家族やご親族が亡くなった直後から、葬儀や法要のスケジュールと並行して進めなければならない種々の手続や届出があります。
 深い悲しみに包まれた中でも、死亡直後から最低限行なわなければならない手続や届出、それらの提出期限などについては、予め確認しておきましょう。
 以下では、死亡直後に行わなければならいない諸手続の概略をご案内いたします。 

死亡直後の手続

1 死亡診断書又は死体検案書の手配

 病院や自宅で大切な家族や親族が亡くなると、死亡を確認した医師から死亡診断書死体検案書が交付されます。
 なお、不慮の事故や自殺などで亡くなった場合には、警察に連絡する必要があり、監察医から死体検案書が交付されます。

2 死亡届の提出

 死亡診断書や死体検案書を手配したら、死亡を知った日から原則として7日以内、故人の本籍地か死亡地または届出人の所在地のいずれかの市区町村役所戸籍担当へ死亡届を持参する必要があります。
 故人の「住所地」は、届出できる窓口ではないので注意が必要です
 また、届出資格者や義務者は、同居の親族などに限定されており、持参書類も故人との関係の分かる戸籍謄本などが必要になりますので注意が必要です。なお、死亡届の提出に手数料はかかりません
 死亡届の提出にあたり詳しい手続については、こちら(福岡市のホームページ)からご確認ください。

3 火葬・埋葬許可申請書の提出

 死亡届を提出すると、市区町村の役所から火葬・埋葬の許可証が交付されます。この申請は死亡届と同時に行うことができます。福岡市では、死亡届と同時に提出するよう案内されています。
 なお、火葬の場合は火葬場の予約をしてから許可証の申請をする必要があり、火葬の日時・場所が決まっていない場合には火葬許可証は発行されません。
 届出者は、火葬や埋葬をされる方となります。なお、火葬・埋葬許可証の申請・交付に手数料はかかりません
 火葬・埋葬許可証の申請にあたり詳しい手続については、こちら(福岡市のホームページ)からご確認ください。

4 葬儀・納骨の手配

 葬儀や法要は宗教や宗派によっても異なりますが、一般的な流れとしては、ご家族やご親族が亡くなられたことを知った場合、まずは葬儀社に連絡し、通夜や葬儀・告別式の手配を行うことになります。
 葬儀を執り行う喪主や世話役を決め、葬儀社と通夜や葬儀、告別式の日時や内容について具体的な打合せを行うことになります。通夜や葬儀の概要が決まったら他の親族や友人、勤務先など関係者に連絡することになります。
 その後、葬儀、告別式を終えて火葬が行われ、(仏式では)初七日から四十九日あたりで納骨を行うことになります。

 なお、葬儀費用については、葬儀社や葬儀の規模により大きく異なるため、一概に答えることはできませんが、最近では、コロナ禍の影響もあり、家族葬など小規模な葬儀が増えているため、コロナ禍以前の200万円程度から100万円程度と従来より半額以下の費用の負担となっているようです。

5 健康保険等の資格喪失手続

⑴ 健康保険証の返却

 会社員の方が在職中に亡くなった場合、健康保険被保険者証を会社を通じて保険者(協会けんぽや健康保険組合)に返却することになります。
 自営業者や後期高齢者など国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合には、故人の最後の住所地の市区町村の窓口へ提出することになります。福岡市の場合、届け出に必要な書類等はこちら(福岡市のホームページ)からご確認頂けます。

⑵ 被扶養者の保険の切替手続

 健康保険の資格喪失日は、死亡日の翌日となりますので、被扶養者の方も故人の健康保険の資格喪失日から健康保険を使えなくなります。そのため、被扶養者の方も、ご自身の健康保険証を故人の健康保険証と一緒に保険者へ返却しなければなりません。また、被扶養者の方がこれまでと同じように健康保険を利用するためには、被扶養者の方ご自身で国民健康保険などに加入する必要があります。

⑶ 葬祭費等の請求

 通常、健康保険証の返却と併せて故人が加入していた保険者へ葬祭費等の請求を行うことができます。
 故人が自営業者や後期高齢者であった場合のように、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合には、市区町村の窓口へ請求することになります。支給額は市区町村により異なります(福岡市の場合は30,000円 ※平成30年3月末までに葬儀を行った場合は50,000円)。
 また、故人が会社員で協会けんぽや健康保険組合に加入していた場合は、故人と生計維持関係があり埋葬を行った方に埋葬料として定額50,000円が支給され、上記以外の方が埋葬を行った場合には埋葬費として上限50,000円の範囲で実費分が支給されることになります。

 なお、葬祭費等の請求期限ですが、葬祭費は葬儀の翌日から起算して2年埋葬料は死亡日の翌日から起算して2年埋葬費は埋葬日の翌日から起算して2年で時効にかかり請求できなくなりますので注意が必要です。

その他諸手続

⑴ 相続手続・所得税の準確定申告の期限に注意

 死亡後の諸手続きは、上記に挙げたもののほか電気・ガス等公共料金やネット、携帯電話等の解約・変更手続き、故人の所得税の申告手続きなども必要になります。公共料金等の解約・変更手続きは期限はありませんが速やかに行う必要があります。

 また、相続手続(単純承認・限定承認・相続放棄)は、原則として相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行う必要があり、故人の所得税の申告手続き(準確定申告)は申告期限が相続の開始があった日を知った日から4か月となりますので注意が必要です。

⑵ 各種手続きのポイント

 故人の死亡後の各種手続・届出は多数ありますので、まずは請求期限の近いものから行っていくことを意識するとよいでしょう。

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-お悔やみハンドブック-

配布期間

 福岡市中央区版の配布期間は、2022年6月6日~2023年6月5日までとなっております。詳細は、こちら(中央区のホームページ)からご確認頂けます。
 また、早良区版の配布期間は、2021年12月1日~2023年5月31日までとなっております。詳細は、こちら(早良区のホームページ)からご確認頂けます。

初回無料相談のご案内

 弁護士法人いかり法律事務所では、初回60分無料でご相談を承っております。大切なご家族やご親族が亡くなられた後の相続等諸手続や届出など気になることがありましたら、お気軽に当事務所へご相談ください。当事務所では、相続問題に関するフルサポートを行っていますので、安心してご相談いただけます。