離婚の流れについて、大まかにお話します。ご自身が以下に説明する段階の、どの段階にいるのか分からなくてお悩みの方は、弁護士に一度ご相談ください。
1 離婚準備
(1)離婚後の生活について
離婚を考えるようになったら、離婚後の生活についても十分に検討する必要があります。配偶者からの暴力など身の危険がある状況であれば、取り急ぎ各相談機関や交番警察署などに助けを求めてください。
(2)相手が離婚に反対している場合
相手が離婚に反対した場合はどうなるのか、財産分与、子どもの養育費や慰謝料の相場、弁護士に依頼した場合の費用など、分からないことがあれば、気軽に弁護士に相談してみてください。
弁護士に相談・依頼したら必ず離婚をしなければならないというわけではありません。また、相談した弁護士に必ず依頼しなければならない、ということもなく、何人かの弁護士に相談をしてみて自分と合う弁護士を探してみるのもよいでしょう。
たとえば、福岡県弁護士会では、弁護士が相談にのる法律相談センターを県下に17か所設けているので、そこに予約をしてみるのも一案です。
(3)離婚準備のポイント
配偶者から怪我をさせられたなど、離婚をしたいと思うようになったきっかけがあれば、怪我の写真や診断書などの客観的な証拠があれば、必ず保存しておきましょう。弁護士に相談に行くときも、証拠を持っていくと状況を分かってもらいやすくなります。
2 離婚協議・交渉
(1)離婚条件を話し合う
離婚を決意したら、気持ちを配偶者に伝えて、離婚するかどうか、離婚するとして条件をどうするかを話し合うことになります。
離婚の条件としては、財産分与や慰謝料の有無、額、年金分割、未成年の子の親権、面会交流、養育費などがあります。未成年の子の親権以外は、離婚届を提出した後に話し合って決めることもできますが、離婚後は疎遠になってしまうことが多いと思うので、できれば離婚前に話し合って決めることをお勧めします。
(2)別居をする場合
離婚前に、ひとまず別居をする人も多いでしょう。
別居をしても離婚するまでは、配偶者に生活費(婚姻費用)を負担してもらえることがあります。
(3)協議上の離婚の成立
離婚や条件に付いて合意ができれば、役所に離婚届を提出すれば離婚成立です。協議上の離婚ともいわれ、日本では一番多く選択されている方法です。
なお、協議上の離婚の場合も、財産分与などの約束事を守ってもらいやすくするために、公正証書にしておくという方法もあります。
(4)弁護士に相談するメリット
話し合いがスムーズにいかない、話し合い自体ができない、又はしたくない場合など、弁護士に相談・依頼して、相手との話し合いを代理でしてもらうこともできます。
また、別居中に生活費を支払ってもらえない場合や、公正証書の作り方が分からない場合など、分からないことがあれば気軽に弁護士に相談してみてください。
3 離婚調停の申立て
(1)話合いが進まない場合
お互いの話し合いでは、離婚や離婚条件についてなかなか決まらない場合、家庭裁判所での夫婦関係調整調停を利用することもできます。
この調停では、離婚だけでなく、円満な夫婦関係に戻るための話し合いをすることもできます。調停を利用したからといって、必ず離婚しなければならないわけではありません。
(2)調停では
調停では、調停委員や裁判官が、当事者双方の話を交互に聞くなどして、専門的知見も踏まえつつ話し合いをとりもってくれます。
ただ、調停となると、だいたい月に1回の頻度で平日の日中に2時間ほど裁判所に滞在する必要があります。
調停は、弁護士を代理人とせずに自分で申し立てて手続きをすすめることもできますが、心細いときなどは調停の申立てを考え始めた段階で弁護士に相談・依頼してもよいでしょう。
(3)調停が成立しない場合
調停が成立しない場合、相当と認められるときは、裁判官の職権で審判がされることもあります。
ただ、当事者どちらかに審判内容に不服があるときは、裁判所に不服申し立てをすることができることなどから、あまり利用されていないようです。
4 離婚裁判
(1)裁判への移行
調停でも、離婚自体や離婚条件について相手と合意にいたらない場合、最終的には裁判手続を利用することができます。
ただし、裁判上の離婚の訴えを提起できるのは、以下の場合のみです。
① 配偶者に不貞の行為があったとき
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
さらに、①~④の事由に当てはまったとしても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認められるときは、離婚の請求は棄却されることがあります。
(2)離婚裁判は弁護士に依頼する
離婚の裁判も、弁護士を代理人とせずに自分ですすめることもできますが、裁判となると専門的なことも多いので、一度弁護士に相談することをお勧めします。
5 離婚成立
どの方法でも離婚が成立した場合は、離婚の届け出を役所にする必要があります。その他、必要があれば、子の姓など戸籍の変更、離婚の際に称していた氏を称する届の提出、年金分割や年金の変更手続き、健康保険の変更手続きなどをします。
なお、届出の期間制限もあるので注意が必要です。
まとめ
以上、離婚を考えはじめてから、離婚が成立するまでの大きな流れを、簡単にですが解説してきました。
離婚にともない、経済的、精神的環境は一変しますので、離婚するかどうか本稿を読まれても、まだ悩まれている方はいらっしゃるかと思います。
離婚手続きの各段階にそって、様々な法律問題も発生していくことになりますので、離婚を決断する前に、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
いかり法律事務所には、離婚・男女問題について多くの相談・解決実績がありますので、安心してご相談・ご依頼いただけます。
離婚・男女問題でお困りの方は、ぜひ、いかり法律事務所へご相談ください。