「いじめ」とは

 「いじめ」に関して、国や学校の責任、重大事態が発生した場合の対処方法などを定めた、いじめ防止対策推進法という法律が、平成25年9月28日に施行されました。

 この法律の中で、「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義されています。

 したがって、加害生徒が、「からかい」「いじり」と思ってしていても、被害者が心身の苦痛を感じているものは、この法律にいう「いじめ」に該当します

「いじめ」に遭った場合

1.学校との関係

 まずは、「いじめ」があった事実を学校に報告しましょう。具体的にはクラスの担任あるいは教頭に、「いじめ」があった日時や内容・加害生徒の名前などを伝えます。

 次に、学校を通じて、加害生徒からの事情聴取の内容を確認し、加害生徒及びその保護者の話を把握します。

 そして、「いじめ」の事実が確認できた場合には、学校に対して、対応策を要求しましょう。具体的には、教員による見守り、クラス替え、再発防止策としてのいじめアンケートの実施やいじめ相談窓口の設置などが考えられます。

 また、学校が「いじめ」を認識していた、あるいは認識できたにもかかわらず、「いじめ」が発生して、被害者に損害が生じた場合には、安全配慮義務違反に基づき学校に対する賠償請求も検討すべきです。もっとも、今後も子どもが同じ学校に在籍することを予定している場合には、子どもの今後の学校生活を考えたうえで対応を考える必要があります。

2.加害者との関係

 加害者に対しては、被害届の提出や刑事告訴・慰謝料請求・謝罪要求・接触禁止の要求・転校の要求など様々な方策が考えられます。

 もっとも、今後も、被害生徒も加害生徒も同じ学校に在籍する場合には何を請求するかについて、慎重に検討する必要があります。同じ学校に在籍しているにもかかわらず、子ども同士が接触を禁止するというのは実際上難しい側面もありますし、被害生徒自身が被害届の提出や刑事告訴まで望んでないというケースも考えられます。

 また、「いじめ」の被害を受けた子どもに、自分は「いじめ」を受けたという事実を突きつけることによって、今後の成長・発達を妨げる要因にもなりかねませんので、そのような場合には、加害者側には請求をせずに、学校に対して再発防止策の実施を求めるにとどめるというのも一つの手です。

 いずれにしても「いじめ」の被害を受けた子どもにとって何がベストかという視点で採るべき方策を検討する必要があります。

3.弁護士に依頼するメリット

 「いじめ」の被害を受けた子どもやその保護者の方では、学校側がきちんと対応してくれないというケースもありますので、そのような場合には弁護士が間に入り、学校との折衝を行います。実際に、ご依頼いただいたことによって、クラス替えが行われたり、保護者説明会が行われたりするケースもありました。

  また、学校は教育の専門機関ではあるものの、交渉の専門家ではありませんので、教員を通じての加害者との交渉には限界があります。弁護士であれば、交渉の専門家として加害者の保護者に対して慰謝料請求・刑事告訴、また、加害生徒の少年審判に関する被害者としての意見申述など法的な方策を採ることもできます。

 「いじめ」の被害に遭われた場合には、一度弁護士にご相談ください。

「いじめ」をしてしまった場合

1.少年事件

 「いじめ」をしてしまい、それが暴行罪や傷害罪にあたるようなケースでは、子どもが逮捕されてしまう場合もあります。

 逮捕されてしまった場合には、警察や検察の取調べへの対応・少年審判に向けた環境調整・少年審判への出席・少年審判後の進路など対応すべきことが多くあります。

2.被害者の方との関係

 「いじめ」をしてしまった場合には、被害者の方はもちろんのこと、その保護者も深い傷を負うことになります。
 そのため、被害者の方や保護者への謝罪・慰謝料や被害者の方が怪我をした場合にはその治療費等の被害弁償などをする必要があります。

 もっとも、被害者の方や保護者は、加害少年やその保護者と直接連絡をとりたくないという気持ちになることも多く、これはごもっともな感情だと思います。直接連絡をとることができないまま、受任通知書が届いた、訴状が届いたというケースも稀ではありません。

3.学校との関係

 まず、学校からの事情聴取等への対応も必要になります。そのうえで、学校から、退学停学出席停止などの処分がなされる可能性があります。

 もっとも、自分の認識と異なった事実関係をもとに処分が決まってしまった、あるいは、処分が不当に重すぎるというケースもありえますので、そういった場合には、学校がした処分を争うことも検討すべきです。

4.弁護士に相談するメリット

 加害者側なのに弁護士に依頼したら、被害者の方々の気持ちをさらに傷つけてしまうのではないかとご不安に思う方もいらっしゃると思います。

 そのような場合には、ご相談のみでも対応いたしますので、被害者の方々に直接連絡をとることができない、どのように被害弁償したらいいかわからない、学校の処分が重すぎるという場合には、一度弁護士にご相談ください。

さいごに

1.学校関係者の方へ

 私たち弁護士は、事後的に「いじめ」に関する事件処理を行っておりますが、「いじめ」が起こってしまうと、被害者が精神的苦痛を感じ、最悪の場合、自死に至るなど取り返しのつかない事態が生じるおそれもあります。
 そのため、そもそも事前に「いじめ」をなくすということが、とても重要です。

 その方法のひとつとして、私は、弁護士による「いじめ予防授業」を行うことが有用であると考えています。実際に「いじめ」に関する事件処理を行っている弁護士が、具体的な事件をもとに授業を行うことによって、よりリアルに「いじめ」の重大性を生徒たちにお伝えすることができると思うからです。

2.学校問題のご相談は「いかり法律事務所」へ

 弁護士法人いかり法律事務所では、弁護士による「いじめ予防授業もお引き受けいたしますので、費用等も含めて、お気軽にお問い合わせください。
 
 また、「いじめ」をはじめ、学校に関する問題で何か気になることがありましたら、学校で起こるトラブルに関する相談・解決実績の豊富な弁護士法人いかり法律事務所にご相談下さい。