第四銀行事件 最高裁平成9年2月28日第二小法廷判決(就業規則による不利益変更)
この判決は、就業規則の変更による不利益が、定年まで現時点の賃金水準を下回らないという合理的期待を損なうにとどまり、法的には既得権を奪うと評価することはできないから、合理性を欠くとはいえないと判断しました。賃金や退職金など労働者にとって重要な権利や労働条件の不利益変更は、高度の必要性が求められます。
この判決は、就業規則の変更による不利益が、定年まで現時点の賃金水準を下回らないという合理的期待を損なうにとどまり、法的には既得権を奪うと評価することはできないから、合理性を欠くとはいえないと判断しました。賃金や退職金など労働者にとって重要な権利や労働条件の不利益変更は、高度の必要性が求められます。
この判決は,就業規則の不利益変更について,合意が認定できる場合には,合理性が否定され反対労働者には不利益変更の効力が及ばないとしても,合意した労働者との関係では不利益変更の拘束力が生じるとしました。
この判決は、労働契約の付随的業務として、降灰除去作業には必要性があり、社会通念上相当な程度を超える過酷な業務ともいえず、職場管理上やむを得ず、殊更職員に不利益を課すという不当な目的もないことから、降灰除去作業を課す業務命令は適法と判断しました。
この決定は、労働者は労務提供義務を負い、使用者はこれに対して賃金支払義務を負うことが労働契約の基本的法律関係であるから、労働契約等に特別の定めがある場合又は業務の性質上労働者が労務の提供について特別の合理的な利益を有する場合を除いて、一般的には労働者は就労請求権を有するものではないと判断しました。
この判決は、労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合には、特定の業務について労務の提供を十分にはできないとしても、①その能力、経験等に照らして配置される現実的可能性がある他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、②その提供を申し出ている場合には、債務の本旨に従った履行の提供があると判断しました。
この判決は、誓約書によって、秘密保持義務及び競業避止義務を定める合意が有効に成立したことを認めた上で、秘密保持義務違反は認められないが、競業避止義務違反は認められると判断しました。
この判決は,民法92条により法的効力のある労使慣行が成立していると認められるためには,同種行為等の長期間の反復継続,労使双方の排除意思の不存在,当該労働条件の決定権限を有する者等の規範意識の存在の3つの要件を要すると判断しました。
この判決は、使用者がその事業の執行につきなされた被用者の加害行為により、直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を被った場合には、使用者は、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において被用者に対し損害の賠償又は求償の請求ができると判断しました。
この判決は、平成16年特許法改正以前、「相当の対価」について、職務発明規程に従って職務発明の承継が行われ、従業者に補償金が支払われた場合であっても、当該支払が「相当の対価」に満たない場合には、その不足分を請求することができると判断しました。