採用内定 大日本印刷事件 最高裁昭和54年7月20日第二小法廷判決
採用内定の取り消しは、①取消事由が採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であり、②それを理由に採用内定を取り消すことが「解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認」できる場合に限り認められる、とされています。
採用内定の取り消しは、①取消事由が採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であり、②それを理由に採用内定を取り消すことが「解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認」できる場合に限り認められる、とされています。
本判決では、試用期間における解約権は「後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨」であるから、通常の解雇よりも広い範囲で解雇の自由が認めれられるとした上で、解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合に限定される判断しました。
この判決は、留学と業務の関連性が薄く、専ら労働者の個人的利益にかなうようなものであるときは、使用者の費用負担は、労働者に対する貸付金と返済期間の猶予と解せられ、損害賠償額の予定を禁止する労働基準法16条に違反しないと判断しました。
この判決は、特定の思想信条を有する労働者による企業秩序破壊のおそれがないにもかかわらず、職場内外で監視し、孤立を図ったことは、労働者の名誉・プライバシー及び職場における自由な人間関係の形成などの人格的利益を侵害すると判断しました。
この判決は、政治的思想だけによっては職級、職位、資格及び査定の面でほかの従業員と差別的処遇を受けることがないという期待的利益を労働者は有し、この期待的利益は、法律上保護に値すると判断しました。
この判決は、HIV感染症に罹患しているという情報を、本人の同意を得ないまま個人情報保護法に違反して取り扱った場合には、特段の事情のない限り、プライバシー侵害が成立すると判断しました。本判決は、使用者が労働者の同意を得ずにHIV情報を取り扱う余地を認めているものといえます。
この判決は,女性従業員の職務内容が男性のものと異ならないにもかかわらず,賃金について相当な格差を設けたことは,男女の賃金差別を禁止した労働基準法4条に反する違法な行為であると判断しました。
この判決は,使用者がハラスメント行為の発生を予見できたにもかかわらず,それを漫然と放置したり,事後の適切な調査等の事後措置を怠った場合には,使用者固有の不法行為責任,債務不履行責任に基づき損害賠償義務を負うと判断しました。
この判決は、妊娠中の軽易業務転換を機になされた降格は、原則として強行法規たる男女雇用機会均等法9条3項に違反するが、例外として、①労働者の自由意思に基づく承諾を認め得る場合、または②業務上の必要性に基づく特段の事由を認め得る場合には、同項に違反しないと判断しました。