WEBや電話での取締役会,株主総会の開催方法をご案内します。

取締役会の開催 WEB・電話・書面決議の活用

通常であれば,議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めている場合は,その割合以上)が「出席」することで行われます。(会社法369条1項)
しかし,コロナで接触を控えたい今取締役会の開催方法として,
1 WEB会議を利用する方法
2 電話会議を利用する方法
3 決議を省略する方法
(定款が必要)
があります。

物理的な接触を減らすには,
定款がある場合は3の方法を,
通信環境が整備されていれば,1あるいは1と2を併用する方法を選択されるのがよいかと思います。
以下で,それぞれの留意点について解説していきます。

1 WEB会議を利用する方法

 開催場所を決めたうえで,各取締役が自宅等からウェブ会議(TV会議)の方法で出席することができます。
 全員がWEB会議で出席することは,確定した解釈はありませんが,議長の所在場所を開催場所として全員がウェブ会議で出席することは可能であると考えられます。

①通信状況の確認

「各取締役が一同に会するのと同等に自由に協議ないし意見交換できる状態」にしておく必要がありますので,
●議長が,その状態である(あった)ことを,審議開始前と終了後に確認すること
●通信障害が発生しないよう,事前に環境を整備しておくこと
が重要になります。

→ 事前に,GoogleMeet,ZOOMなどどのようなWEB会議システムサービスを利用するのかを決めて,予め通信可能か否かテストをしておくとよいでしょう。

②議事録作成

●議事録には,開催場所にいない状態で出席した取締役の出席方法(この場合は,ウェブ会議(TV会議))を記載する必要があること(会社法施行規則101条3項1号)
●議事録を書面で作成する場合には,出席した取締役・監査役は署名又は記名押印する必要があること(会社法369条3項),電磁的記録で作成する場合は,電子署名をする必要があること(会社法369条4項,同法施行規則225条2項)
に留意して議事録を作成する必要があります。

→議事録には,WEB会議で参加したことを記録し,署名押印(又は電子署名)をする必要があります。

③出席の機会の確保

各取締役の通信環境により,ウェブ会議(TV会議)の方法がとれないことを理由に,取締役会への出席を拒むなど,出席の機会を不当に奪わないように注意しましょう。

→現在ではあまりないと思いますが,WEB会議ができるパソコンやスマートフォンを持っていない取締役がいる場合には,会社が貸し出すなど一定の配慮が必要になります。

2 電話会議を利用する方法

 開催場所を決めたうえで,開催場所に行けない取締役には,電話で出席してもらうことができます。ただ,以下の留意点との関係で,電話での出席を希望する取締役が多数いる場合には全員が電話による出席をすることは難しいと思われます。

①通信状況の確認

ウェブ会議と同様,「各取締役が一同に会するのと同等に自由に協議ないし意見交換できる状態」にしておく必要があることから,
●スピーカーフォンの機能を用いるなどして,物理的に出席していない取締役の発言が聞き取れる状態,他の取締役等による議論の内容が認識できる状態にしておくこと(即時性と双方向性の確保
●議長が,その状態である(あった)ことを,審議開始前と終了後に確認すること
●通信障害が発生しないよう,事前に環境を整備しておくこと
が重要になります。

→これもWEB会議を利用するときと同様に,予めテストをしておく必要があります。

②議事録作成

●議事録には,開催場所にいない状態で出席した取締役の出席方法(この場合は,ウェブ会議(TV会議))を記載する必要があること(会社法施行規則101条3項1号)
●議事録を書面で作成する場合には,出席した取締役・監査役は署名又は記名押印する必要があること(会社法369条3項),電磁的記録で作成する場合は,電子署名をする必要があること(会社法369条4項,同法施行規則225条2項)
に留意して議事録を作成する必要があります。

③出席の機会の確保

各取締役の生活状況等により,電話会議の方法がとれないことを理由に,取締役会への出席を拒むなど,出席の機会を不当に奪わないように注意しましょう。

3 決議を省略する方法(定款が必要)・書面決議

 定款の定めがある場合,いわゆる書面決議をすることができます。取締役が提案した取締役会の決議の目的である事項について,その提案につき取締役の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の取締役会決議があったものとみなすことができます。(会社法370条)
 つまり,取締役の提案ごとに,取締役全員が書面又はメール等で同意すれば,取締役会決議を省略して,実際に可決決議があったのと同様の扱いができるということになります。

①同意の方法がメール等の場合

㋐メールの本文に提案内容を記載して送信し、メールの本文に同意する旨を記載して返信をしてもらう方法や、㋑提案内容を記載した用紙のPDFを送信し、当該用紙のPDFに署名押印したものをPDFで返信してもらう方法などがあります。
㋐の方法では,メールを会社のサーバ内に所定のファイルとして記録しておくことが必要です。メールをプロバイダ(メール事業者)が保管管理している場合が多いと思われますので,メールのデータ自体を会社のサーバ内に記録として保管管理するようにしておきましょう。
㋑の方法では,返信してもらったPDFを,データとして会社のサーバ内に保存・管理しておきましょう。

いずれの方法においても,データは常時確認できるようにし,10年間備置く必要があります。

②議事録作成

●全員の同意により決議が省略された場合でも,書面又は電磁的記録をもって議事録を作成することは必要です。(会社法施行規則101条2項,4項1号)
●決議があったものとみなされる日は,議決権を行使できる取締役全員の同意の意思表示が議案の提案者に到達した日になります。
●議事録を書面で作成する場合には,出席した取締役・監査役は署名又は記名押印する必要があること(会社法369条3項),電磁的記録で作成する場合は,電子署名をする必要があること(会社法369条4項,同法施行規則225条2項)に留意して作成してください。

③監査役設置会社の場合

監査役が,取締役の提案した決議事項の内容について異議を述べた場合には,書面決議は認められません。(会社法370条第2かっこ書)

定款・議事録・取締役会規程

書面決議を可能とする定款,WEB会議の議事録,取締役会規程の変更などについて,ご相談をご希望の場合は,お問い合わせください。
初回は無料で相談対応をしております。また,WEBでの面談,電話での相談などを実施しております。

株主総会の開催 WEB・書面など活用

※参照経産省HP 「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」

2020年6月施工のパワハラ防止法によりハラスメント相談窓口の設置が義務化されました。詳細は、以下からご確認ください。