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 この決定は、労働者は労務提供義務を負い、使用者はこれに対して賃金支払義務を負うことが労働契約の基本的法律関係であるから、一般的には労働者は就労請求権を有するものではないと判断しました。 

事案の概要

(1) 新聞社に大学新卒者として採用された。
(2) 半年間の見習い期間満了時に解除の意思表示を受けた
(3) 解雇の意思表示の効力停止、賃金の支払及び就労妨害排除の仮処分を申請した。

原決定は、解雇の意思表示の効力停止及び賃金支払は認容、就労妨害排除は却下

判旨・判決の要約 抗告棄却

 労働者は使用者の指揮命令に従って労務を提供する義務を負担し、使用者はこれに対して一定の賃金を支払う義務を負担するのが基本的な法律関係である。

  労働者の就労請求権について労働契約等に特別の定めがある場合又は業務の性質上労働者が労務の提供について特別の合理的な利益を有する場合を除いて一般的には労働者は就労請求権を有するものではない

解説・ポイント

 就労請求権について、裁判例は、ほぼ一貫して原則否定・例外肯定説を採用しています。
 就労をめぐる事情は多様であり、労働は賃金を得るためだけの手段ではなく、それ自体が労働者にとっての自己実現であるという側面を併せ持ちます。
 
 また、使用者による就労拒否は、労働者に財産的な損害だけではない様々な不利益を生じさせ、現実の就労によってしか回避・回復しえない不利益も少なくありません。
 今後は、労働者の就労請求権を認める方向で議論がすすめことが考えられます。