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裁判例

秋北バス事件 最高裁昭和43年12月25日大法廷判決(就業規則による不利益変更)

この判決は、新たな就業規則の作成又は変更によって既得権を奪い、不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されないとした上で、不利益変更が合理的であればそれに反対する労働者も拘束されると判断しました。

フジ興産事件 最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決(就業規則の周知) 

労働契約法7条にいう「周知」とは、労働者が知ろうと思えば知ることができる状態に置かれたことで足りるとする「実質的周知」をいいます。「実質的周知」については、情報へのアクセスが可能かどうかだけではなく、アクセスの客体である情報の適切、内容の認識・理解を可能とするような使用者の説明が必要となります。

第四銀行事件 最高裁平成9年2月28日第二小法廷判決(就業規則による不利益変更) 

この判決は、就業規則の変更による不利益が、定年まで現時点の賃金水準を下回らないという合理的期待を損なうにとどまり、法的には既得権を奪うと評価することはできないから、合理性を欠くとはいえないと判断しました。賃金や退職金など労働者にとって重要な権利や労働条件の不利益変更は、高度の必要性が求められます。

山梨県民信用組合事件 最高裁平成28年2月19日第二小法廷判決 

この判決は,就業規則の不利益変更について,合意が認定できる場合には,合理性が否定され反対労働者には不利益変更の効力が及ばないとしても,合意した労働者との関係では不利益変更の拘束力が生じるとしました。

国鉄鹿児島自動車営業所事件 最高裁平成5年6月11日第二小法廷判決 

この判決は、労働契約の付随的業務として、降灰除去作業には必要性があり、社会通念上相当な程度を超える過酷な業務ともいえず、職場管理上やむを得ず、殊更職員に不利益を課すという不当な目的もないことから、降灰除去作業を課す業務命令は適法と判断しました。

読売新聞社事件 東京高裁昭和33年8月2日決定(就労請求権) 

この決定は、労働者は労務提供義務を負い、使用者はこれに対して賃金支払義務を負うことが労働契約の基本的法律関係であるから、労働契約等に特別の定めがある場合又は業務の性質上労働者が労務の提供について特別の合理的な利益を有する場合を除いて、一般的には労働者は就労請求権を有するものではないと判断しました。

片山組事件 最高裁平成10年4月9日第一小法廷判決

この判決は、労働者が職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合には、特定の業務について労務の提供を十分にはできないとしても、①その能力、経験等に照らして配置される現実的可能性がある他の業務について労務の提供をすることができ、かつ、②その提供を申し出ている場合には、債務の本旨に従った履行の提供があると判断しました。

ダイオーズサービシーズ事件 東京地裁平成14年8月30日判決 

この判決は、誓約書によって、秘密保持義務及び競業避止義務を定める合意が有効に成立したことを認めた上で、秘密保持義務違反は認められないが、競業避止義務違反は認められると判断しました。

商大八戸ノ里ドライビングスクール事件 大阪高裁平成5年6月25日判決

この判決は,民法92条により法的効力のある労使慣行が成立していると認められるためには,同種行為等の長期間の反復継続,労使双方の排除意思の不存在,当該労働条件の決定権限を有する者等の規範意識の存在の3つの要件を要すると判断しました。

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