鈴蘭交通事件 札幌地裁平成11年8月30日判決(労働協約終了後の労働条件)
本判決は、労働協約の終了(失効)後の労働契約の内容は、就業規則や労働契約の解釈等によって補充されるべきところ、このような補充規定がない場合には、従前の(失効した)労働協約の内容が、協約失効後の労働契約の内容を規律すると判断しました。
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本判決は、労働協約の終了(失効)後の労働契約の内容は、就業規則や労働契約の解釈等によって補充されるべきところ、このような補充規定がない場合には、従前の(失効した)労働協約の内容が、協約失効後の労働契約の内容を規律すると判断しました。
この判例は、労働協約による労働条件の不利益変更が認められるかは、不利益な労働協約が締結されるに至った経緯や当時の使用者の経営状況、当該労働協約の内容の合理性に照らして判断されるべきと判示しました。
就業規則は、会社設立に際しては、定款須に次いで作成に着手するべき重要なルールですが、周囲の経済事情や会社内部の変容などに応じて、合理的かつ迅速に変更、修正を行わなければならないものでもあります。本稿では、就業規則の作成手続から就業規則の変更・不利益変更について、その運用とポイントをご紹介致します。
就業規則の作成や変更では、労基法や労組法等の労働関連法令や判例等との整合性、適法性などの法的判断を伴います。そのため、弁護士などの専門家によるチェックが不可欠といえます。労務専門の弁護士が就業規則の作成や見直しも行っていますので、就業規則の作成・変更をご検討の際には是非当事務所へご相談ください。
この判決は、新たな就業規則の作成又は変更によって既得権を奪い、不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されないとした上で、不利益変更が合理的であればそれに反対する労働者も拘束されると判断しました。
この判決は、就業規則の変更による不利益が、定年まで現時点の賃金水準を下回らないという合理的期待を損なうにとどまり、法的には既得権を奪うと評価することはできないから、合理性を欠くとはいえないと判断しました。賃金や退職金など労働者にとって重要な権利や労働条件の不利益変更は、高度の必要性が求められます。