大石塗装・鹿島建設事件 最高裁昭和55年12月18日第一小法廷判決
請負契約の元請企業は、直接の労働契約関係にはない下請企業の労働者に対しても安全配慮義務があると判断した判例を紹介します。
請負契約の元請企業は、直接の労働契約関係にはない下請企業の労働者に対しても安全配慮義務があると判断した判例を紹介します。
労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務(健康配慮義務)に違反し、労働者が精神疾患・自殺に至ったような場合には、使用者は債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償義務を負うことになると判断した判例の紹介です。
この判例は、契約当事者間における安全配慮義務は、特別な社会的接触の関係に入ったものと認められることから、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務と判断したものです。
この裁判例は、通勤災害にあたる通勤の「合理的な経路」について、事業場と自宅との間を往復する場合に、一般に労働者が用いると認められる経路をいい、必ずしも最短距離の唯一の経路を指すものではない。合理的な経路が複数ある場合には、そのうちのどれを労働者が選択しようが自由であると判断しました。
この判決は、企業者は、労働者を雇用するにあたり、いかなる者、いかなる条件でこれを雇うかについて、原則として自由にこれを決定することができるとしている。ただし、思想信条等の調査にあたっては、現在の法制度のもとでは、一定の配慮が必要となる、と判断しています。
この判決は、親子会社の関係にある2つの会社の子会社の方に雇用された労働者は、親会社に対して、法人格否認の法理により、労働契約上の責任を追及することができる場合があるとしました。
この判決は、労働組合法上の労働者該当性は、事業組織への組入れ、契約内容の一方的・定型的決定及び報酬の労務対称性が基本的判断要素であると判断しました。なお、業務の依頼に応ずべき関係や会社による指揮監督下の労務提供及び時間的場所的拘束性は補充的判断要素されます。
この判例は、雇用主以外の事業主であっても、自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配・決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、同条の「使用者」に当たると判断したものです。
この裁判例は、雇用契約の準拠法について、当事者間に明示の合意がない場合には、契約内容など具体的事情を総合的に考慮して当事者の黙示の意思を推定するべきであるとして、本件における準拠法はドイツ法であるとの黙示の合意が成立していたものと判断しました。