逮捕される前に

 暴行・傷害事件を起こした場合、いつ弁護士に相談すればよいのでしょうか。事件後、逮捕直後に相談する、と考える方もいるでしょう。
 
 確かに、暴行・傷害事件を起こし、逮捕された場合にできるだけ早く弁護士に相談することは大切です。弁護士は、刑事事件を含め、さまざまな事件の解決を職務の1つとしており、逮捕後の対応についても熟知しているからです。
 ですが、一度逮捕されてしまった場合、その後、送検されて勾留、公判請求と身柄拘束期間が続く可能性があるため、身柄拘束によるデメリットは非常に大きなものとなります。

 暴行・傷害事件を起こした場合には、逮捕される前に弁護士に相談することがとても重要です

暴行・傷害事件の特徴

1.暴行・傷害の概要

 刑法上の暴行とは、広く不法な有形力の行使のことをいい、例えば、故意に殴る、蹴るなど傷害の結果を生じさせる危険を有する行為のほか、相手に唾を吐きかける、食塩を振りかける、人に向かって石を投げて命中しなかった行為なども広く含まれます。
(暴行罪の刑罰は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は科料」と規定されています) 

 刑法上の傷害とは、人の生理的な機能に対して障害を加えることをいい、生理的な機能の障害とは、実際に怪我をさせることだけでなく、例えば、病毒の感染や長時間の失神、PTSDなどを発生させることも含まれます。
(傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役又は50年以下の罰金」と規定されています)

 暴行と傷害はその行為態様が類似していますが、その結果の重大性などから傷害の方が暴行よりも法定刑が重く規定されています。もっとも、事案の内容(犯行当時の状況や当事者の属性など)によっては暴行で起訴される場合もあれば、傷害で起訴されない場合もあるように、必ずしも傷害行為の方が暴行行為より重く処罰されるわけではありません

2.相手との関係性が重要となる

 暴行・傷害事件が他の刑事事件と大きく異なるのは、相手(被害者)との関係がとくに重要になるという点です。 

 逮捕される前に、被害弁償を済ませ、示談まで成立していれば、逮捕される可能性も小さくなりますし、仮に逮捕されても、罪証隠滅・逃亡のおそれも小さいなどと判断されれば、早期に釈放されることや、送検されても不起訴・起訴猶予処分となることが期待できます。
 また、民事の方で損害賠償を請求しない、といった清算条項を含む示談を取り交わしていることにより、罰金刑などの刑罰を受けた後に、さらに被害者から民事事件として損害賠償請求されることを防ぐことができます。 

 暴行・傷害行為を行った加害者自身が、被害者と直接示談交渉のやり取りなどをすることは容易ではありませんが、両者の間に弁護士をたてることで、被害者との示談交渉がスムーズに進むことは多くあります。

 暴行・傷害事件を起こした場合には、逮捕後に被疑者の家族が弁護士に相談するケースが多いのですが、逮捕される前に自ら行った事実を弁護士に伝えその後の対応について相談する方がより大切です

逮捕されたら

1.弁護士に相談する

 逮捕されてしまった場合には、身柄の解放など以降の対応について弁護士に相談する必要があります。
 逮捕された場合には、逮捕されてから最大48時間も身柄が拘束されるため、その期間は自由に家族や会社と連絡がとれません。送検された場合には、さらに拘束期間は伸び(逮捕されてから最大72時間)、その上裁判官の勾留決定が出ればより長い期間(原則10日間)拘束されることになります。
 早期の身柄解放のためには、弁護士による適切な弁護活動が不可欠です。

2.逮捕後の大きな流れ

 逮捕されてしまった場合、依頼を受けた弁護士は、被疑者の早期の身柄解放のために、被疑者との接見(面会)だけでなく、被害弁償や示談交渉、検察官の勾留請求に対する却下決定の準抗告の申立てなど様々な弁護活動を行います。逮捕に対する不服申し立てはありませんので、逮捕・勾留といった逮捕後の身柄拘束によるデメリットを考えれば、まずは逮捕されないように対応(弁護士に相談・依頼)することが大切です。
 逮捕後の大きな流れは、こちらのページをご覧ください。

弁護士費用

 弁護士費用は、内訳として、着手金や報酬金、日当、実費などが発生します。着手金や報酬金については、対象となる暴行・傷害の行為態様や被害状況などにより異なるため、詳細については弁護士との相談の際にご確認下さい。

1.着手金(事件1件あたり)

基本275,000円(税込)~ 
※ 犯罪の軽重、起訴前・起訴後、事案の内容や状況などにより異なります。詳細は初回相談時に弁護士にご相談下さい。見積をご案内致します。

2.報酬金

不起訴や罰金刑、執行猶予など刑事処分の結果により金額が異なります。
詳細は初回相談時に弁護士にご相談下さい。見積をご案内致します。

3.日当(1回あたり)

基本33,000円(税込)~
※ 警察署の所在地により費用が異なりますので、詳細は初回相談時に弁護士にご相談下さい。見積をご案内致します。

刑事弁護はいかり法律事務所へ

 弁護士法人いかり法律事務所には、暴行・傷害事件など様々な刑事弁護をつとめてきた経験豊富な弁護士が多数在籍しております。
 
 暴行・傷害事件は、被害者との関係からも逮捕前の段階から被害弁償や示談交渉などをすすめていくことが大切です。被害者との示談交渉などについてお困りの方はぜひ福岡の弁護士法人いかり法律事務所へご相談下さい。