飲酒運転をしたら
1.他の交通違反よりも厳格に処罰される
飲酒による道路交通法違反は、その悪質性、危険性などから、他の交通違反よりも厳格な処罰規定が設けられています。
また、運転者以外の者が運転者に飲酒させたり、飲酒した運転者に同乗していた者に対しても処罰規定が設けられています。
2.交通反則通告制度
(1)交通反則通告制度とは
交通反則通告制度とは、刑事政策的に、昭和43年7月1日より施行されたものであり、交通違反の程度が軽微で定型的なもの(一時停止違反や携帯電話使用違反など)については、反則金を納付することにより刑事訴追を行わない(前科がつかない)制度のことをいいます。
現在の反則金額は、最低3000円から最高40000円の範囲で定められています(反則行為の種別及び反則金一覧表・警視庁HPより)。
交通反則通告制度の手続きについては、福岡県警のHP「交通反則通告制度について」をご覧ください。
(2)飲酒運転行為に通告制度の適用はない
交通反則通告制度は、上記のとおり、交通違反の程度が比較的軽微で定型的なものであることから、交通違反の程度や発生する結果が悪質、重大なものはこの通告制度の適用はありません。
たとえば、飲酒運転や無免許、過労運転などは交通反則通告制度の適用はなく、刑事手続きにより処分が行われます。
(3)飲酒運転交通事故発生状況
令和5年12月末における福岡県の飲酒運転の交通事故の発生件数は、87件(前年比-4件)で、飲酒運転による死亡事故発生件数は6件(前年比+3件)となっています。
福岡県の飲酒運転による交通事故の発生状況については福岡県警が公表している交通事故統計資料をご覧ください。
飲酒運転に対する行政処分と罰則
酒気帯び運転や酒酔い運転を行った場合には厳しい行政処分と罰則が科されます。
1.酒気帯び運転
呼気中の濃度(0.15mg/L~)により、基礎点数の減点のほか免許停止や2年間の欠格期間(取消処分後免許の再取得ができない期間)のある免許取り消しの行政処分が行われます。
また、刑事処分については運転手だけでなく、車両等の提供者や酒類の提供者・同乗者にも罰則が科されます。前二者については、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、後者については2年以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されることになります。
このように運転手以外にも厳しい罰則が規定されています。
2.酒酔い運転
「酒酔い」とはアルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態のことをいいます。酒酔い運転の場合には基礎点数の減点のほか、酒気帯び運転よりも長い3年の欠格期間がある免許取り消しの行政処分が行われます。
また、刑事処分については、酒気帯び運転と同様、運転手だけでなく、車両等の提供者や酒類の提供者・同乗者にも罰則が科されます。前二者については、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金、後者については3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになります。
このように酒酔い運転に対しては上記酒気帯び運転よりも重い行政処分と罰則が設けられています。
3.危険運転致死傷罪
アルコールの影響により正常な運転が困難な状況で運転し、人を死亡させた場合には免許取り消しの行政処分(欠格期間8年)や、最高20年の懲役刑が、また同様の状態で人を負傷させた場合には免許取り消しの行政処分(欠格期間5年以上)や、15年以下の懲役刑が設けられています。
また、アルコールの影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転し、正常な運転が困難な状態に陥り、人を死亡させた場合には、免許取り消しの行政処分(欠格期間8年)や15年以下の懲役刑が、また同様の状態で人を負傷させた場合にも免許取り消しの行政処分(欠格期間5年以上)や、12年以下の懲役刑が設けられています。
このように行為態様の悪質性や結果の重大性などから、非常に重い行政処分と罰則規定が設けられています。
4.その他
飲酒運転に関する罰則等として、上記行政処分や罰則以外にも、免許取り消し(欠格期間5年)の行政処分や12年以下の懲役刑を定めた過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪なども設けられています。
なお、飲酒検知拒否については3カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が規定されています。
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