この記事で分かること
- フランチャイズ契約の定義と、3つの種類
- 本部・加盟店それぞれのメリットとデメリット
- 契約書で必ず確認すべき点と、印紙の扱い
- 契約の終了・更新拒絶と、起こりやすいトラブル
フランチャイズ契約とは
1 フランチャイズ契約の定義は複数ある
フランチャイズ契約の代表例として、小売業(コンビニエンスストアなど)や飲食業(ファーストフード店など)、サービス業(整体やマッサージ店など)、教育業(有名塾など)が挙げられます。
よく耳にする「フランチャイズ」という言葉ですが、フランチャイズ契約には複数の定義が存在します。
⑴ 日本フランチャイズチェーン協会の定義
日本フランチャイズチェーン協会は、本部が加盟店に商標や経営ノウハウの使用を認め、同一のイメージのもとで事業を行う権利を与える関係と定義しています。加盟店はその見返りとして一定の対価を支払い、自ら資金を投下して、本部の指導・援助のもとに事業を行います。
⑵ 公正取引委員会のガイドラインの定義
公正取引委員会のガイドラインは、本部が特定の商標、商号等を使用する権利を与えるとともに、加盟店の販売やサービス提供について統一的な方法で統制・指導・援助を行い、その対価として加盟店が金銭を支払う事業形態と定義しています(参照)。
⑶ 中小小売商業振興法の定義
中小小売商業振興法には、フランチャイズを想定した「特定連鎖化事業」の規定があります。定型的な約款に基づき継続的に商品の販売や経営指導を行う事業で、約款に商標・商号等の使用を認める定めと、加盟金・保証金等を徴収する定めがあるものをいいます(同法4条5項・11条1項。参照)。
⑷ フランチャイズ契約とは
以上より、フランチャイズ契約とは、
①フランチャイザーとフランチャイジーが独立の法人格を有すること、
②フランチャイザーがフランチャイジーに対して自己の商標・ロゴ等営業の象徴となる標識の使用を許諾すること、
③フランチャイザーがフランチャイジーに対して継続的にノウハウを提供すること、
④フランチャイジーがフランチャイザーに対して対価を支払うこと、
を要素とする契約であると考えられます。
2 フランチャイズの種類
ビジネス・フォーマット型
事業経営の仕組みごと提供する形です。
- 標識・ノウハウ・支援を一体で提供
- この形がフランチャイズ契約の本質とされています
商標フランチャイズ
メーカーが販売店を組織する形です。
- 商標の使用許諾と商品の提供を行う
- 販売店(特約店)がその商品を販売する
製造フランチャイズ
メーカーが製造・販売会社を組織する形です。
- 商標・特許・ノウハウの許諾と原材料の供給
- 製造・販売会社が製造から販売まで行う
※フランチャイズ・パッケージとは、対象事業に使用される標識やノウハウ、支援が有機的かつ一体的に統合された事業経営の仕組みのことをいいます。
フランチャイズ契約のメリットとデメリット
1 フランチャイザー側のメリットとデメリット
フランチャイザーのメリット
- スケールメリットによるコスト削減
- 加盟店が増えることで商品・サービスのイメージアップと短期間での事業拡大
- 加盟金・ロイヤルティによる安定した収入
- 指導やマニュアルによる店舗運営レベルの均一化
フランチャイザーのデメリット
- 加盟店との協調関係の維持に時間と労力がかかる
- 加盟希望者の有無で出店地域が限定される
- 売上実績が振るわない加盟店によるイメージダウン
- ノウハウ流出のおそれ
- 情報開示・説明義務の負担が大きい
2 フランチャイジー側のメリットとデメリット
本部と加盟店は別個の事業者であることが多く、加盟店が本部の組織の一部門にあたるわけではありません。
フランチャイジーのメリット
- 本部の市場競争力を利用して、同じ又は類似の市場で有利な地位を得られる
- 小規模・零細の事業者でも事業能力が向上し、市場競争力を持てる
- 商品・サービス開発を本部に任せ、店舗経営に専念できる
- 商品や原材料の供給でスケールメリットを受けられる
フランチャイジーのデメリット
- 加盟金・ロイヤルティなど、自営では発生しない費用がかかる
- 業績が本部の業績に左右されやすい
- 本部のシステム下にあるため創意工夫の余地が少ない
- 他の加盟店の経営実績不良によるイメージダウンの影響を受ける
- 守秘義務・競業避止義務など多くの制約を受ける
フランチャイズ契約書
フランチャイズ契約では、一般的に、商標・商号の使用、事業経営のノウハウの供与、保証金、対価の算出方法とその支払い方法、商品・サービスの販売条件、機密保持義務及び契約の終了・更新に関する条項などが規定されることになります。
フランチャイズ契約は、売買契約やライセンス契約など様々な契約要素を含んだ複合的な契約となるため、それぞれの契約の特徴・要素を踏まえたフランチャイズ契約書の作成が必要となります。
1 公正取引委員会のガイドライン
平成14年4月24日公正取引委員会公表の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」というガイドラインにより、フランチャイズ契約における独占禁止法上の問題に関する指針が提示されました。
フランチャイズ契約書の作成にあたっては、このガイドラインに抵触しないように注意しなければなりません。
2 契約書作成のポイント
フランチャイズ契約書の作成にあたっては、以下の7つのポイントに留意することが必要です。
- 中小小売商業振興法に基づく開示書面をフランチャイジーに交付していること
- フランチャイズ契約の内容について実績に即した適切な説明がなされていること
- 商標、商号などの使用許諾条件について明記されていること
- フランチャイズ契約当事者間の商品・サービス提供の基本的条件(販売価格・販売方法等)について定めていること
- フランチャイザーの優越的地位に基づいた一方的な契約内容となっていないこと
- 抱き合わせ販売・拘束条件付き取引と評価される規定がないこと
- フランチャイズ契約終了時の基本的条件(競業避止義務等)について定めており、フランチャイジーにとって著しく不利益な内容となっていないこと
フランチャイズ契約書の雛形・PDF・書式
フランチャイズ契約書に貼る印紙
フランチャイズ契約が、印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」に該当する場合には、契約書1通につき4,000円の印紙税が発生します。
「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち、一定の要件に該当する文書をいいます。
具体的にどのような文書が「継続的取引の基本となる契約書」に該当するかは、こちらの国税庁のHPからご確認下さい。
なお、契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。
フランチャイズ契約の終了
1 フランチャイズ契約の終了原因
フランチャイズ契約の終了原因として、①契約期間の満了、②中途解約、③合意解約、④約定解除、⑤法定解除、⑥廃業などが挙げられます。
2 契約期間の満了
フランチャイズ契約に期間の定めがある場合、自動更新条項がない限り、期間の満了によって契約は終了します。もっとも実務では、自動更新条項が定められているのが一般的です。契約期間の長短は、双方の投資回収に要する期間や業態の寿命などを考慮して決められます。
⑵ 更新拒絶された場合
更新拒絶の通知は、契約期間の終了前(概ね3〜6か月前)までに行うと定められるのが通例です。もっとも加盟店は、事業を始めるために相当額の投資をしていることが多く、その投資回収に対する合理的期待を保護する必要があります。
裁判上は、フランチャイザーの更新拒絶を公序良俗や信義則を理由に制限しており(名古屋地判H1.10.31判時1397-188)、当事者の公平の観点から、契約を継続し難いやむを得ない事由がない限り契約更新することを原則とすると判断するようになっています(名古屋地判H2.8.31判時1042-130)。
3 合意解約
合意解約は、当事者の合意により解約の内容・方法等が決められることになります。そのため、合意解約が成立する場面も効果も一様ではありません。
たとえば、契約期間の途中で契約を終了させる場合や、契約期間満了により契約が終了する場合にも合意解約の方式をとることがあります。
合意解約においては、後日の紛争を予防するために、合意解約書などを作成し、合意解約後の措置や清算方法などを明記しておくことが重要です。
4 約定解除・法定解除
フランチャイズ契約は、信頼関係を前提とする長期の継続的契約です。そのため、契約違反を解除事由と定めていても、当事者間の信頼関係を破壊するような事情がある場合に限り、解除が認められます。
具体的には、フランチャイズ・パッケージの根幹部分や取引関係の基礎が毀損される、本部の重要な財産・権利が侵害されるといった重大な事態が生じた場合(またはそのおそれがある場合)に限られます。
フランチャイズ契約に関するトラブル
1 契約当事者間でのトラブル
フランチャイズ契約においては、一般的に、フランチャイザーの方がフランチャイジーよりも優越的な地位にあるため、商品・サービスの販売条件、対価の算定・支払方法などフランチャイザーに有利な内容で契約が結ばれることが多くあります。
そのため、独占禁止法の優越的地位の濫用や不公正な取引制限に当たるとしてトラブルに発展する場合があります。
その他にも、フランチャイズ契約を結んだものの、フランチャイザーのフランチャイジーに対する売り上げ予測の説明と実績が異なっていたことを理由に、フランチャイジーからフランチャイズ契約の解除や保証金の返還を求められるといったトラブルに発展する場合もあります。
2 消費者との間のトラブル
フランチャイズ契約に関するトラブルにおいては、契約当事者以外の第三者との間でトラブルが発生することも想定されます。
たとえば、店舗における事故や商品・食品の安全問題などについては、消費者・利用者から慰謝料など損害賠償を請求される場合があります。
フランチャイズ契約について弁護士に相談する場合
フランチャイズ契約について弁護士に相談をするときは、少なくともWEBページなどで、フランチャイズ契約について説明をしていたり、裁判例などの解説をしていたりする弁護士・法律事務所を選ぶとよいと思います。その弁護士・法律事務所は、フランチャイズ契約の特殊性や契約書の重要性を一定は理解していて、比較的、フランチャイズ契約に強い弁護士と推認されるからです。
弁護士法人いかり法律事務所では、フランチャイズ契約に関する初回無料法律相談を実施していますので、是非ご活用ください。初回法律相談を受けて頂いた企業様には、内容等に応じて、費用のお見積りをさせて頂きます。
よくあるご質問
- Qフランチャイズ契約書を結ぶ前に見てもらえますか。
- A
はい。契約を結んだ後では直せない条項が多くあります。ロイヤリティの計算方法、テリトリー権の有無、中途解約時の違約金、契約終了後の競業避止義務などは、締結前の確認が特に重要です。
- Q契約期間の途中で解約したいのですが、できますか。
- A
契約書の定めによります。中途解約が認められていても違約金の定めがあることが多く、金額が過大な場合は争える余地もあります。契約書をお持ちのうえご相談ください。
- Q本部から更新を拒絶されました。受け入れるしかないのですか。
- A
自動更新の条項があるか、更新拒絶に正当な理由があるかによって結論が変わります。長期間にわたり投資をしてきた場合など、加盟店側の利益が保護されるべき場面もあります。
解決事例
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