労働問題

福岡の弁護士による裁判事例紹介 男女の昇格差別とその救済 兼松事件 東京高裁平成20年1月31日判決【15】

労働問題

【読むポイントここだけ】

この判決は,女性従業員の職務内容が男性のものと異ならないにもかかわらず,賃金について相当な格差を設けたことは,男女の賃金差別を禁止した労働基準法4条に反する違法な行為であると判断しました。

【事案の概要】

(1)女性が入社した会社は,男女間で異なる採用方法,賃金体系を採用しており,男性の賃金体系は女性よりも高く設定されていた。
(2)会社は,人事制度を改め,職掌別人事制度を導入し,男性従業員を一般職に,女性従業員を事務職に編入した。併せて職掌転換制度を設けたが,事務職から一般職の転換には能力・実績要件などの条件が課されていた。
(3)会社は,新人事制度を導入し,職掌転換制度を変更した。事務職から一般職への転換のために,「考課AB以上」が加えられた。
(4)女性は,賃金格差は違法であるとして,一般職が受領した賃金及び退職金との差額の支払い等を求めた。

第一審は請求棄却

【判旨 判決の要約】一部認容,一部却下,一部棄却

(1)職掌別人事制度前まで
企業には,労働者の採用について広範な採用の自由があることから,本件の男女コース別採用は公序良俗に違反するとまではいえない。
(2)職掌別人事制度から新人事制度導入直前まで
女性従業員と職務内容や困難度を截然と区別できないという意味で,同質性があると推認される当時の男性の賃金との間に相当な格差があったことは,合理的な理由が認められず,性の違いによって生じたものと推認される。これは,男女の賃金差別を禁止した労働基準法4条に違反する。
(3)新人事制度導入から今日まで
同年齢の男性の賃金との間の格差に合理的な理由は認められず,性の違いによって生じたものと推認され,労働基準法4条に違反する。

【解説・ポイント】

いわゆる男女別コース制は,機会均等法5条・6条の直接差別に該当するものとして平成11年以降は採られなくなりましたが,これに代わるものとしてコース別雇用制を多くの企業が採用しています。しかし,このようなコース制度も,それが,一方の性に差別的な効果をもたらすようなものである場合は間接差別として禁止されます。

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