【読むポイントここだけ】
この判決は,一旦特定された労働時間の変更は原則として許されないが,予定した業務の大幅な変動等の例外的限定的な事由に基づく変更は許される。その場合,変更の予測が可能な程度に具体的事由を定めておく必要があると判断しました。
 
【事案の概要】
(1)会社は,変形労働時間制を採用し,労働時間は7時間45分としていた。社員の勤務について,就業規則上,毎月25日までに翌月分を指定することと規定されていた。
(2)会社は,従業員に対する勤務指定の後,勤務指定の変更を行い,従業員は,変更後の指定労働時間に基づく勤務を行った。
(3)会社は,従業員に対して,変更後の労働時間を所定労働時間とする計算で賃金を支給した。
(4)従業員は,変更後の労働時間が7時間45分を超えた部分について,時間外労働に当たるとして超過勤務手当の支給を請求した。

第一審は従業員の請求を一部認容

【判旨 判決の要約】原判決一部変更,請求一部認容
(1)労働基準法32条の2の「特定」の要件を満たすためには,各日及び週における労働時間をできるだけ具体的に特定することが必要である。
(2)勤務変更は,業務上のやむを得ない必要がある場合に限定的かつ例外的措置として認められるにとどまる。
(3)本件会社の就業規則上の勤務変更規定は,一般的抽象的な規定であり,労働基準法32条の2の「特定」の要件を充たさない。
 
【解説・ポイント】
特定された労働時間の変更は原則として許されません。
ただし,予定した業務の大幅な変動等の限定的な事由にもとづく変更であれば許されることもあり得ると考えられます。
裁判例においても,予見不可能な事由が発生したときに,変更が許される例外的・限定的事由を具体的に記載した場合は,労働時間を変更する旨の定めも許されることを示唆するものがあります。